バスケ審判殴った留学生帰国へ。事件の背景に感じた「見えない鎖国」

6月17日、バスケットボールの全九州高校体育大会で起こった、留学生選手による審判殴打事件。SNSで映像が瞬時に拡散され、テレビ番組などでも驚きを持って報道されました。この件を受け、健康社会学者の河合薫さんはメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で、自身の小学生時代の在米生活も例に上げ、国内で共に生活する外国人に対して冷たすぎる日本人を批判するとともに、このような国はどこの誰からも愛されないと記しています。

留学生流血事件と見えない鎖国

やったことは悪い。でも、その背景にあるリアルを知り、胸が詰まりました。

事件は、6月17日、 全九州高校体育大会のバスケットボール男子の準決勝で起こりました。

延岡学園(宮崎)の1年の留学生(15)が、審判のファウルホイッスルを不服とし、 審判の顔面を殴打。しかも「グー」。平手ではなくグーで顔面を殴り、 審判員は出血しその場に倒れてしまったのです。

試合終了後、留学生は監督に抱きつき「ごめんなさい。ごめんなさい」と号泣。見ているのが切ないくらい、2メートル4センチの大きな体を屈め小さな 子供のようにワンワン泣いていました

実はこの留学生は、今年2月に アフリカのコンゴ民主共和国から来日した青年で、 バスケットはほぼ未経験。身体能力の高さを評価され「 延岡学園を勝たせるため」の留学生の1人として招かれました。

ところが延岡学園には彼の母国語である フランス語を話せる人はひとりもおらず春頃からホームシック気味に。「家に帰りたい」と学校側に訴えていたところで、今回の“事件”が起きてしまったのです。

同校は、23日、この留学生を6月末までに帰国させると発表。そこで明かされたのが、 日本社会の負の側面でした。

試合直後からSNS上では留学生への 猛烈なバッシングが始まり、中には ヘイト紛いのものや暴力行使を示唆するものまで横行。翌日からは、 電話やメールが学校に深夜まで相次いだそうです。佐藤則夫校長は「不測の事態もあり得るので、本人をできるだけ早く帰国させたい」とコメント。

今回の事件は「コミュニケーション不足」が最大の原因とし、今後は留学生の母国語が話せる非常勤教職員を雇うことなどを検討中だそうです。

…なんとも。 なぜいつもこうなのか

確かに殴ってしまったことはいけないことです。どんな理由があれ、許されることではないかもしれません。

でも、日本語もわからない、生活文化も異なる15歳の青年を、 なんらサポートすることなく来日させるって一体ナニ?

繰り返しますが、殴ったことは悪い。明らかに悪い。審判は口を10針以上縫う怪我をされたそうですが、「バスケを嫌いにならないで欲しい。続けて欲しい」との願いから 告訴などはしないと言ってくれたのが、せめてもの救いです。

つまり、今回の事件は「 今回の殴打事件だけの問題ではないのです。言葉も生活も文化も違う異国の地で親と離れて暮らす青年への サポート体制の欠如が問題の根っこにある。学校側の対応は 極めて由々しき問題だと思います。

事件が起きたから「今後は母国語が話せる非常勤教職員を雇うことなどを検討中」などという言い訳は、 全くもって意味不明。一体ナニを考えているんだ、と。

日本には目に見えない鎖国がある」――。日本で働く外国人の方は、こう嘆いていました。日本人は旅行者の「外国人」には優しいのに、 共に生活する外国人になぜこんなにも冷たいのか?

しかも、こういうコメントをした途端、「それ逆差別じゃん! 外国人は暴力事件起こしても免除かよ!」と、 問題のすり替えをする輩が山ほどいるのが残念でなりません。

私は9歳の時、アラバマ州のハンツビルという「 日本人がうちの家族だけ」という完全なアウェーに引っ越しました。

6月に引っ越したので、現地は夏休みです。「少しでも慣れるために」と、サマースクールに通わされました。

その時 一番困ったのは、「 トイレ」です。トイレに行きたいのですが、どこにあるかがわからない。授業も何時に終わるかもわからない。

普通に日本で暮らしていれば、小学4年生がトイレに困ることはありません。「トイレに行きたい」と言えばいいし、「トイレはどこ?」と聞けばいい。なんら問題はないはずです。

続きは第2ページ


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